富士山寄生火山 犬涼み山(1210m) 2011年12月18日

所要時間 7:00 墓地入口−−7:30 林道に乗る−−7:40 犬涼み山東鞍部−−7:47 犬涼み山−−7:58 犬涼み山東鞍部−−8:17 林道終点−−8:33 墓地入口

概要
 判立場付近より往復。小さいながら中央が凹んで火山らしい地形の山。道が無いので等高線に沿って植林帯を適当に歩いていたら、地形図に無い林道(高土林道)が出現し、南に上っていたので利用。この林道は犬涼み山東側鞍部を乗り越えておりそこから尾根に取り付く。一帯は植林と落葉樹林の混合で山頂(最高点)は自然林。西に下がったところに三角点があり、すぐ横に朽ちた鉄塔が倒れていた

 富士山西側の寄生火山のうち、地形図記載の山は登りつくしたはずだが、山名事典記載の山はまだ残りがある。そのうち、静岡側に飛び出した犬涼み山は車道からやや離れた位置にあり、近くに登山道は無さそうでルートファインディングを楽しめそうな山だ。地形の特徴に乏しい富士の裾野の小ピークなのでGPS無しでは到達はほぼ不可能とみた。しかし、何でまた犬が涼む山なのだろうか。近くにそんな名前の風穴があるのでそれが元だと思うが、そちらの名前の由来はどうなのか。

 どこから登るかであるが、西側の林道が一番山頂に近いのだが、おそらくは集落が終わった辺りの林道入口にゲートがかかっていて林道歩きの距離が長いだろうと予想した。一方、北側の「判立場」なる地名の場所にはお寺マークがあり車で入れそうだ。ここから犬涼山西下を通る林道に乗ることも可能だが、わざわざ標高を下げてまた登るのは無駄が多く、林道は無視して等高線に沿って横移動が効率がいいだろう。過去の経験からしてこの標高は人工林の確率が高く籔の心配はあまり無い(たまに笹藪の場合もあるが)。あとは途中にでかい谷が無いことを祈るばかりだ。富士山麓はルンゼのように切り立った谷が存在することがあり、これは現場に行かないと分からない。

墓地入口が出発点 ゴルフ場周囲のダート

 準備した地形図は犬涼み山付近だけで県道から判立場付近の車道が含まれていなかったのは失敗で、手持ちのロードマップやエアリアマップ、PCの地図は古いようで現場の道と異なり、判立場への道がどこなのか迷いまくった。しかしゴルフ場に至る2車線の広い道の突き当りで右に曲がり進んでいくと墓地&お寺入口に到着。これは判立場のお寺マークに間違いない。変形三叉路に見覚えがあり、ずっと前に二ッ山に登った時の起点として利用したのであった。その時もこの道を通ったはずだが全く記憶が無かった。三叉露に車を置いて今夜の宿とした。途中の気温表示は-5℃。えらく冷え込みそうだったが、意外にも体感的にはそれ以下に冷え込むことは無かったような。でも窓の水滴はカチカチに凍っていた。

ダートから笹藪混じりの植林に突入 笹の中に一筋の獣道?あり
笹藪帯から抜ける 明るくなる

 翌朝、快晴の朝を迎えて飯を食って出発。ゴルフ場周囲を巡るダートを少し進んで踏跡のような切り開きから笹が繁茂した植林帯に踏みいる。踏跡がなければ籔漕ぎに苦労するレベルの密度の笹であり、最初から少し当てが外れる。しかし100mほど進むと笹が減って歩きやすくなり、笹が薄い所を狙って進んでいく。もちろん、常に方位磁石で進行方向が南であるか確認しながらだ。なだらかな斜面なので適当に進むのは危険だ。

開けた廃林道?を横断 再び暗い植林帯に突入
谷を横断 廃林道も利用

 廃林道のような開けた筋を横断し、再び植林帯に入ると笹はほぼ消えて格段に歩きやすくなる。こうなれば南へ南へと等高線に沿って進むだけだ。檜の植林が続き、たまに谷を横断するが凹んでいるだけで水は無い。鹿道が縦横無尽に付いており、ジムニークラスの車でしか走れなさそうな半分廃林道の車道もたくさん登場した。地形図に書かれていない道は使いようがない。

右手にまともな林道が並走 林道に降りる。かなりまともで現役の道

 廃林道も利用しながら緩斜面のトラバースを続けると、右手下方にまともな林道が見えた。でもどこに進むのか分からないので無視ししていたがずっと私の右(西側)のそばを離れない。このまま南に向かいそうなので植林から出て林道に出ると、ダートであるがえらくきれいでよく使われている雰囲気だった。いったいどこが起点だろうか。標高は1170m程度なので地形図に無い林道だった。

 林道はウネウネしながらも概ね南に進み、GPSの残距離はカーブで増えることはあるが大半の個所で順調に減っていく。林道はやや高度を上げて、この分だと犬涼み山東側を超えそうな雰囲気だ。植林の背が高いのでかなり接近するまでは犬涼み山のピークは確認できないが、こういう場合にGPSは絶大な威力を発揮する。こんな緩斜面では地形もクソもない。

犬涼み山東鞍部 尾根に取り付く。藪皆無

 やがて樹林を通して右手にピークが出現、小さい。予想通り林道はピークの東側を巻くように高度を上げて小さな峠で尾根を乗り越えて下っていく。ここで尾根に乗って西へと向かう。ここも植林で、作業道なのか鹿道なのか分からないが筋があるが、地面付近には笹や灌木、草は皆無でどこでも歩けるので問題なしだ。

山頂への登り 犬涼み山最高点(三角点の東側)

 平坦な短い尾根を進むと小ピークへの登りが登場、広葉樹が混じった急な斜面を登ると鹿道が走る「外輪山」の一角に出た。地形図では中央が凹んだ火山らしい形が出ているが、まったくその通りで中央に明瞭な凹みがあり、ミニチュアながらも火山らしい姿だった。しかし溶岩が見えているわけではなく全体が土に覆われて檜の植林帯だった。外輪山の一角が最高点であり、ここも樹林で展望なし。なぜか碍子が付いた材木が立っており、昔は電線が引いてあったのだろうか。山頂標識皆無で赤テープを残した。

犬涼み山三角点 三角点脇に倒壊した鉄塔
お鉢上の熊棚

 せっかくなので左回りで「お鉢めぐり」に出発。西に下ると三角点が登場、そして傍らには倒壊した鉄塔が。残った脚は三角点のすぐ横にあり、三角点絡みの施設だったのだろうか。これが健在ならば樹林の上に出て展望が楽しめたかもしれない。南に下ると明瞭な鹿道が幾筋も付いていた。人間は林業関係者以外はほとんど来ないだろうが鹿は大量襲来らしい。

地形図に無い林道は高土林道。どこが起点なのか? 高土林道終点。判立場まで約500m
廃林道が続く 最後は笹藪に突入

 林道に戻り、今度は林道がどこに至るのか確認するため、林道があまり妙な方向に行かない範囲で林道を辿ることにした。途中に「高土林道」の標識が出現。どこかに高土という地名があるのかな? 林道はうまい具合にほぼ北に標高をあまり落とさず進んでいったが、判立場まであと500mというところで終点に。起点は逆方向の南側にあるようだ。まだ廃林道は続いており、ほぼ等高線に沿って延びているのでそのまま進む。やがて植林中で廃林道は消え、適当に北上すると往路で見た廃林道のような樹林が開けて冬枯れした草が茂った明るい一帯を横断する。反対側の植林帯に入ったが、この先は笹が豪勢に茂って完全に籔漕ぎだ。往路とは少しずれた場所らしい。それでも東濃の焼山や高森山の笹藪と比較すればまだまだ楽だ。両手で容易に掻き分けられるレベルだ。少しでも薄い個所を求めて鹿道を使ったりも。やがて廃林道に出て、明るさが見える右に進むと往路で植林帯に取り付いた個所で車道に出た。

ゴルフ場(富士クラシック) ゴルフ場西側から見た大室山
ゴルフ場西側から見た富士山 ゴルフ場西側から見た竜ケ岳
ゴルフ場西側から見た南アルプス

 最後に籔漕ぎが待っていたが、ほぼ想像通り全体的には植林帯の歩きと、予想外の林道使用で楽に往復できた。

 

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